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センター長あいさつ

写真:センター長近影 新しく創り上げて欲しい~あなたの力を最大限発揮するための特別な環境~ 北海道大学病院 卒後臨床研修センター長 平野 聡

初期臨床研修の2年で目指すゴールは?

 北海道大学病院 臨床研修センター長として,これから研修を開始される学部生,あるいは現在すでに研修中の先生方にメッセージをさせていただきます。

 臨床研修制度が開始されてから,すでに10年が経過しています。それ以前は出身大学関連の単一診療科でストレート方式の研修が行われていましたが,専門領域に偏った研修であり,幅広い診療能力が身に付けられないという批判がありました。その反省をもとに必修診療科を指定したローテート方式が取り入れられ,出身大学とは異なる施設を自由に選択する2年におよぶ初期臨床研修システムが始まりました。さて,現在まで,この制度の大きな目標であった「幅広い臨床能力の獲得」はどの程度達成されたのでしょう。現在,「専門医」という言葉はあまりに有名になりましたが,ほぼ全ての研修医は初期臨床研修が修了すると,この「専門医」=「卓越したプロフェッショナル」を目指して習練を開始します。実は「幅広い臨床能力」とは,この「専門医」がもっているべき最も基本的な医療者としての基盤に他なりません。どの領域の「専門医」にもその専門を極めるための”土台”が必要であり,初期臨床研修の2年はこの土台を築くための期間ということになります。では,土台作りにどれだけの時間が必要でしょうか?初期研修の2年間を費やす必要があるのでしょうか?答えはNOであり,初期臨床研修の期間中に,できるだけ早く基盤を固め,次の専門性を身につけるためのステップに移るべきです。2年間をちゃんとした医師になるための”練習期間”と思って,制度の定めた到達目標をゴールと決めこんでいるあなたは,大きな誤解をしています。いち早く基盤作りを終えて,専門医として必要な臨床能力を身につける準備に入らなければ,たとえカリキュラムを全てこなしたとしても,無駄な2年間を過ごしてしまうことになります。

 尚,研修歯科医の皆さんはこの期間が1年と定められています。北海道大学病院では,非常に良く考えられた歯科研修プログラムも準備されています。詳しくは歯科部門ページをご覧ください。
 

身につけなくてはいけない能力は3つある!

写真:センター長 プロフェッショナルとして必要な能力のことをコンピテンシー(Competency)と呼びます。きちんとした医師=専門医として働くために必要な能力は,上で述べた臨床能力(Clinical Competency)だけではありません。加えて研究能力(Research competency)技術能力(Technical competency)が必要です。
 臨床能力が最も現れるのは患者さんやその家族,同僚や先輩医師,あるいは他のメディカルスタッフとのコミュニケーションの実力です。また,研究など全く興味が無いというあなたも,多くの臨床試験や治験の情報の海の中で,どれが本当に正しく,どの情報が不確かなのかをきちんと判定する能力=研究能力がなくては患者さんを最善の方法で治すことができません。さらに,医療の現場で行われるあらゆる行為,すなわち聴診・打診などの診断技法から静脈採血などの観血的手段,はたまた高度な手術まで,すべてが技術です。これらの技術を高め,常により高度なものへ発展させる努力=技術能力は初期臨床研修の一日目からすでに要求されていて,どんなにベテランになっても継続的に求められる能力なのです。
 従って,臨床・研究・技術という三つのコンピテンシーをいかに早く身につけてプロとして活躍できるかは,初期研修の2年間を過ごす施設と自身の心掛け次第で大きく変わるのです。

北海道大学病院で“働く”ということ

 初期臨床研修医に習練は必要ですが,北大病院が単なる職業訓練の場でないことを理解する必要があります。北大病院は診療内容や外来・入院患者数など,名実ともに北海道の中心となる医療機関です。29の診療科を擁し946の病床数を持ち,493名の医師が年間約30万人の入院患者さんを受け入れます。私たち北大病院の使命は北海道の医療における「最後の砦」であることはもちろん,極めて治療に難渋する患者さんが全国,あるいは海外から来院されます。そこでは年齢や経験など全く異なる医療者が一つのチームとしてその困難な治療にあたることで初めて,一定の成果があげられます。すなわち,初期研修医が治療に参加し,貢献する=“働く”ことを意味します。研修医による型にはまらない斬新な発想と,なんとしても治したいという情熱が,高度で先進的な医療にも極めて重要な要素であることを我々は知っています。
 もちろん,50の関連教育病院との「たすきがけ方式」での1年単位の市中病院研修や,大学病院研修の1年の中に自由に組み込むことができる協力病院でのプライマリ・ケア研修でいわゆるcommon diseaseを経験し一定の感触を得る事も必要です。しかし,その経験数は真の実力と全く関係がありません。大切なのは,どんなに困難な状況に遭遇しても,その条件で持ちうる能力を最大限発揮して,いかに最善の策を講じることができるかという応用力が実力の証です。勿論,日常よく出会う疾患はそのような努力がなされなくとも,全員にほぼ同じ治療が可能であり,その結果は安定しています。しかし,北大病院の多くの患者の治療はそうはいきません。初期研修医からベテラン指導医まで,全員が持てる力を総動員して患者の治療にあたり,より良い結果を求めなくてはならないのです。つまり,研修医にも治療チームの一員としての重要な役割があるのです。

北大病院研修医としての誇り

 あくまでもあなた方のゴールは初期研修の修了という小さなものではないことはわかっていただいたと思います。初期研修はたったの2年ですが,スタートダッシュのタイミングとして本当に貴重な期間です。まず必要なのは社会のニーズに応え,質の高い医療を提供できる「プロフェッショナルな自分」を見据えてスタートラインに立つことです。
 北海道大学には開学当時から引き継がれる基本理念である「フロンティア精神」があります。時代ごとに変化するさまざまな問題を直視し,敢然として新しい道を切り拓くべきという北海道大学を世紀を超えて支えてきた揺るぎない精神です。北大病院に全国の大学の卒業生が研修医として集まり,交流を深めながら自らが切磋琢磨し,この「フロンティア精神」のもと,他のどの施設にもない新しい研修のかたちを創造する主役であってほしいと願っています。北大病院はそのような“lofty ambition”(高邁なる大志)を持つ研修医に最大限のサポートと活躍の場を提供します。

 最後に,誇り高き北大病院研修医が全国で,あるいは世界で大いに活躍できる医療者として巣立つことこそが,私たち研修担当者や指導医はもちろん,北大病院全職員の切なる願いであることをつけ加え,メッセージといたします。

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